2024/01/22(月)Acer H223HQの分解・修理?

H223HQという古いTN液晶モニターの調子が悪いので分解したメモ。

症状

  • 電源ケーブル切断後、数秒~30秒ぐらいして電源を投入すると、電源ボタンが一切反応しなくなる(電源が入らなくなる)。
  • 電源ケーブルを抜いて、2~3分ぐらい放置して再度電源を接続すると、今度は電源が入り使える。

電解コンデンサの劣化かと思ったのですが、よくよく思い返してみると購入間もない頃も同じ症状に見舞われたおぼろげな記憶があるため、仕様のような気もします……。

注意

情報提供のための記事です。分解等は必ず自己責任でお願いします。

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2022/09/14(水)PS2 DUALSHOCK2のアナログ感圧ボタン修理

PlayStation2 のボタンが反応しなくなったので、デジタル化して修理したときのメモ。PS3コントローラーでもおそらく有効。

(Abstruct) Notes on repairing PlayStation2/DUALSHOCK2 analog pressure sensitive buttons by digitizing them.

※PS2実機での動作は未確認。

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2021/08/24(火)OPA1622のGNDの扱いと音質比較

Ti製のSoundPlus高性能オーディオ・オペアンプ「OPA1622」のGNDをどこに接続するか問題について。

OPA1622とは

高性能オーディオ用ICであり、音質も大変優れていることから人気のオペアンプです。SoundPlusシリーズの中でも最高の「Ultimate」を冠しています。

このICは「100mA以上の電流」を取り出せ、ヘッドホンなどを直接駆動することも可能です。もっぱら「いわゆる載せ替えオペアンプ」として人気のようですが、このICは10pin DFNとして提供されており、通常の方法ではオペアンプとして載せ替え使用することはできません。

またこのオペアンプには±電源ピンの他に、GNDピンがありこのピンの処理方法について多少の議論があるようです。

OPA1622のGND処理と音質比較

GND端子の接続方法は3つ考えられます。

  1. V-(マイナス電源)につなぐ(秋月変換基板ほか)
  2. 変換基板上で仮想GNDにつなぐ(Bispa変換基板)
  3. 8pinオペアンプ互換を諦めGNDに直接接続する(Bispa変換基板では可能)

仮想GNDの回路はこんな感じです。*1

OPA1622_VG.png

比較結果

(3)GND接続 > (1)Vee接続 > (2)仮想GND回路付

ある種、当たり前の結果になりました。

*1 : Bispaの基板では10KΩではなく22KΩが使われているようです。

GNDはどこに接続するべきか?

データシートには次のような記述があります。

OPA1622-GND.png

【赤下線】GNDピンはノイズが最小でインピーダンスが最も低い基準に接続しろ

ノイズが少なくインピーダンスが低い基準点というのは、通常はGNDになりますが*2、GNDに接続できない状況でしたら次点でマイナス電源に接続するのは決して悪いことではありません。*3

上に示した仮想GND回路は、電源ピン(V-)に直接接続するよりインピーダンスが高いので、音が悪くなるのは当たり前です。

*2 : 回路全体が仮想GNDで動作している場合は除く。

*3 : 似たようなものだからとプラス電源に接続すると動作しなくなるのでご注意。

一番良い方法は何?

「なんだ仮想GND基板ク○じゃん」という結論は、実はちょっと焦りすぎです。

OPA1622.jpg

左が仮想GND付き変換基板(R/C裏面実装)で、右がGND-Vee接続変換基板です。GND-Vee接続基板は、上ではCを載せずに評価しました。ここには0.1uFのECPUを電源パスコンとして接続することができます。

仮想GND付基板は、GNDを接続するためのPAD(旧Bispa変換基板ならばホール)があります。仮想GND付き基板はGNDを正しく接続すると基板中のC1/C2が電源パスコンとして作用します

その結果こうなります。

C付き仮想GND基板のGNDを接続 > C付きGND-Vee接続基板 > GND接続 > その他

まとめ

  • 仮想GND付き変換基板をそのまま使うのは愚行。
  • GND-Vee接続のオペアンプ変換基板は、電源パスコン付きのほうが音が良い。
  • 仮想GND付き変換基板は、Cを付けた状態でGND端子を回路中のGNDに接続する。
    • Rはあってもなくてもどちらでも良い。

おまけ

実験に使った基板はBispaで販売されているものです。

2016/02/07(日)抵抗ノイズを測定したかった

抵抗のパラメーターを「抵抗値」と「消費ワット数」しかないと思ってる人が多そうなので、昔からの課題にしている「抵抗による音質の差を目で見える形にする」って方法がないかよく考えたりしてました。

それで最近組んでみたのがこんな回路。

noise_amp.jpg

音声信号を抵抗(R2,R3)に流したとき、どのような差が出てくるか約100倍に拡大して表示してみようという回路です。R10には実際には可変抵抗を使い、最後の抵抗2つで元信号との差を取って見てみようという回路でした。


しかし実際に測定してみると、差が小さすぎてぜんぜん拉致があきません(汗)。仕方ないので以前製作した差動プリアンプを使ってさらに100倍に増幅して観測。ようやくオシロスコープ表示できるように。

でもゲイン誤差やオペアンプによる歪のほうが大きいのか、カーボン抵抗とLGMFS(音質の良い金皮)で比べても観測できる誤差はありませんでした。

ゲインを変更 2016/02/09

測定したい抵抗で101分の1(1K/10)に落としてからオペアンプで101倍して、反転した信号と抵抗+半固定抵抗で合成して差を作り、それを更に100倍する回路に変更しました。

noise-amp.jpg

うまく行ったわけではないので回路図は省略します(苦笑)

ここに100Hzのsin波を入れてやります。

NA-sin100.png

これを半固定抵抗で調整してゲイン誤差を最小にします。

NA-sin2.png

これで測定準備完了。試しにホワイトノイズを再生してみます。

NA-white.png

実際に測定してみる

高周波ノイズが多すぎて大変なので、オシロスコープで2.9kHzフィルタをかけた状態で測定しました。

曲冒頭(秋月カーボン)

test1-r1.png

曲冒頭(LGMFS)

test1-r2.png

15秒ぐらい(秋月カーボン)

test2-r1.png

15秒ぐらい(LGMFS)

test2-r2.png

画像を重ねて切り替えてみると、少し秋月のほうがノイズが多いかなと思えなくはないですが、測定方法を考えると残念ながら有意な差とはいいにくいレベルです(苦笑)

いい方法思いついたら続報書きますが、このままお蔵入りの線が濃厚です(汗)

最近の調べ物

Raspberry PiのI2Sまわりを調べてるんですが、記事にして技術情報を公開している人少ないですね。アンプ系とかでもそうですけど。実物あります、売ってます。うーん、そりゃ商売としては正しいでしょうけども……。みんなケチだな(個人の感想です)。*1

頒布物は、基本的に基板ぐらいしか価値がないと思ってるので、このブログは技術情報はむしろ積極的に公開していくスタイル。その方がいろんな反応あって面白いので!(笑)

でも最近は、そもそも泥臭いことするエンジニア減ったよなーと思う今日この頃だったりもしました。

*1 : とはいえ、中にはものすごく泥臭い情報を記述している方もいて、とても参考になってありがたい限り。