2008/07/06(日)FET素子の増幅度(ランク)と音質

発端はKANさんのLM4880ヘッドホンアンプへのコメント

LM4880の前段にバッファをかませてみました(2SK170・2SJ74それぞれ1ケのプッシュプルエミッタフォロワ)。(中略)、全体的にベールを一枚剥いだ感じの音質に仕上がりました。

反転アンプにバッファ付けて音質改善? なんて思ったもののためしてみるとこれが大きく変わる。しかも、Idss電流の小さいGRランクではほとんど改善効果がなく、Idssの大きいBLランクだと改善効果がある不思議。その不思議を追求して、Idssの一番大きいVランクを入手。「ええっ、こんなに変わるの?」っていう豹変っぷり。FETヘッドホンアンプを明らかに越える音質にびっくり(勘違い)。

不思議

FETのランクというのは、Idssと呼ばれるゲートソース間電圧0V時の電流値を選別したものです。Idssが増えるとgm(増幅度)が増えて出力インピーダンスが減る傾向にはあります。

これで大きく音質が変わることは、Idss以外に何かしら理由があるはずです。

  • 素子雑音がIdssに比例する?
  • 増幅率が良い素子ほど、なんらかの特性が向上する?

まだ分かりませんが、FETほど簡単な素子でこれほどの差が出るというのは非常に興味深い結果です。このFETの音の差は、オペアンプの選別品や広帯域品の音が良い理由に関連するように感じます。

続報

このFETヘッドホンアンプをVランクにすると音が変わるのか。

音は違います(LM4880前段に使ったときほど差はないと思いますが)。音の奥行き感や低音の力強さでVランクの方が上のようです。何気なく聞いていると結構違うような、注意深く聞いてるとまるで違わないような変な感じです。再生装置や環境によっては差が分からないかもしれませんが、環境によってはこちらよりもハッキリ違いが分かるかもしれません。*1


※詳しい情報はこちら

*1 : ちなみに昨晩聞き比べたときは、ランクの差よりもケーブルによる音質劣化を聞いてしまっていました(汗)。昔はケーブルの差なんて全く分からなかったのですが、知らない間に随分と遠いところへ来てしまったようです。LM4880アンプは素子を取り替えて聞き比べたので、その他要因ではありません。

2008/06/19(木)ヘッドホンアンプ聴き比べ

今回は自分ではなく、他の人に聞き比べてもらいました

  • DENON DF-101
  • ATH-AD1000

自作3種

LM4880アンプ旧型新型(改良型)

となりました。LM4880は相当優秀(以前キットとして配っていたアンプより確実に上)でしたが、他と比べると音が濁るという結論でした。たぶん抵抗が2つ直列に入る分だけ不利なのでしょう。

旧型と新型の差は非常に悩んでいました。回路は違いますけど原理は一緒ですからね。途中まで「差がない」という結論でしたが、ある曲でわずかに音の止まり(キレ)が新型の方が良いという結論になりました。*1

電気的性能(出力インピーダンス)を考えると、明らかに逆順になるのに不思議なものです。さてこれで次期ヘッドホンアンプの回路は決定です。バイポーラアンプ(旧型)が上にならなくて本当によかった。*2

*1 : 後日自分で確認しましたが、旧型は100Hzぐらいの音のしまりがややないようです。出力インピーダンスからいえば止まっていいはずなのに不思議な結果となりました(おかげで長時間聴いてると耳に妙な圧迫感が(汗))。

*2 : なぜなら、こちらのアンプは出力電圧や電流の制限が厳しく、接続可能なヘッドホンがより限られてしまう。また、使用可能な電源電圧範囲の制限も厳しい。

オペアンプヘッドホン

ついでに006P×2仕様のバッファアンプも聴いてもらいました。LM6171では「音が濁る」とのことで相手になりませんでした。

さてここで人気のOPA627。結論は「どっちも良い」ということで甲乙は付きませんでした。OPA627は多少色が付く(しかしそれが心地よい)という感じみたいです。

蛇足、残念なお知らせ

製作中のPCM2702-DACも聴いてもらったのですが、プレイヤーとしての性能がダメダメという結論になってしまいました。DENONのCDプレイヤー(DF-101)と聞き比べさせてもらったんですが、たしかにお話になりませんでした >PCM2702-DAC

どうりで普段の聞き比べが難しいわけです。PC向けDACの元々の性能のひどさがよく分かりました。それともう1つの問題はニッコームの抵抗……かもしれない(未確認)。仮にそうだとすると、参ってしまいます。せっかく安価で適当な抵抗に巡り会えたと思った矢先に(苦笑)。抵抗ではなく、電源の問題でした。いまは修正済。バスパワーは面倒くさいですね。

それと基準となるプレイヤーが全く存在しないので、CDプレイヤーでも買った方がいいのかなと思い始めています。市販CDプレイヤー並のPC用サウンドカードでもいいのでしょうが、また地雷踏みそうで…。*3

*3 : もっとも、よくこの再生環境で今まで聞き比べてたなと自分で自分に感心しそうです(笑)

単3×2、LM4880/LM4881 ポータブルヘッドホンアンプ

はてブ数 2008/06/17電子::HPA

LM4880(LM4881)を使用した、たった8部品のポータブルヘッドホンアンプです。以前紹介したLM4880アンプのDC直結改造版になります。小型アンプを求める人が多いようなので公開します。

部品点数が少なく、製作が非常に簡単です。

概要

単3電池×2ヘッドホンアンプ製作に凝り始めるきっかけとも言える「LM4880アンプ」でしたが、自作FETヘッドホンアンプに比べて明らかに音質面で劣っていました。この回路をDC直結アンプとして改造したところ、見違える音質となったので紹介します。

Chu-Moyよりもよっぽど電池が持ちますし*1、ここで紹介している他のどのアンプより製作が簡単です。音質は他のアンプと同等クラスで、ポータブルとしては充分すぎます。

*1 : 音量や電池容量によりますが、100時間ぐらい持つのではないかと思います。

回路図

LM4880-DC-LR.gif

最大電圧5.5V(±2.75)まで!

Ra, Rbは入力/帰還抵抗です。-1倍動作になっています。必ず20kΩである必要はなく、15kΩ~30kΩぐらいで適当に選び4箇所とも同じ抵抗値にしてください。入力ボリュームは必ず10kΩ以下を使用してください。(大きくても20kΩ以下)。ボリュームの全抵抗値を大きくすると音量調節が狂います。入力/帰還抵抗より小さな値を選ぶと考えましょう。*2

電源電圧は2.1V付近まで動作するようです。普段はニッケル水素やニッカド電池で使用していました。

*2 : かと言って帰還抵抗を100kΩなどにすると音質面から不利になります。

部品選定

回路がきわめて単純なため、「電源コンデンサ」「入力ボリューム」「帰還抵抗」の音がそのままストレートに出てきます

おすすめの部品は以下です。(2016/09現在)

回路図の項に書いたとおり、抵抗の抵抗値は15~30kΩぐらいならば適当で構いませんので、入手性と折り合わせて自由に選択してください。

音響パーツと入手方についてはヘッドホンアンプの部品入手に関する説明を参照してください。

製作時の注意

電源の配線に注意してください。一番下の配線参考図もみていただいて、「8番→C1→C2→4番」のルートをできるだけ短く太くしてください。不安なときは更に、4番と8番の足の直近で0.1uFのフィルムコンデンサを取り付けてください。

ICの入手

  • (2014/11/07) LM4880/LM4881共に秋月で売ってるそうです。
  • bispaにてLM4880が入手できます。その他推奨部品もここで買えます。DIP変換基板、OS-CON、抵抗はLGMFS、ボリューム(RD925GかR1610G)。ついでにチップフィルムコン 0.1uFを買うのをおすすめ。
  • 頂いた情報によると、共立電子(デジット)の店舗でもLM4881を販売しているそうです(通販には見当たりましせんでした)

音質

結局のところ、抵抗(とコンデンサ)の音がそのまま出てきてるように感じます。ニッコームRP-44C/18kΩで確認する限り、他の自作アンプの方が少し良いかなという印象ですが、十分及第点だと思います。

高能率イヤホンでの注意

コメントがあったため確認したのですが、インピーダンス16Ωのイヤホンなど、超高能率イヤホンではIC自体が発生するノイズがわずかに聞き取れます*3。街中などではほぼ分からないと思いますが、静かな部屋ではシーというホワイトノイズが聞き取れます。

あまり気にならないレベルだとは思いますが、ご了解ください。IC自体のノイズはどうやっても消すことはできないので、代替案としてこのアンプの簡易型なども検討してみてください。

*3 : MDR-E931SP(=125dBu)にて確認しました。一般的な高能率ヘッドホンである 102dB/mW,40Ω=115dBu ではまったく聞き取れません。

解説と原理

LM4880/LM4881は元々ポータブル向けに低電圧用途で開発されたICです。単電源駆動用に作られていますが、仕様外ながら内部回路をうまく利用することでDC直結で使用てきます。

LM4880-DC.png

DC直結の方が音質がよい、部品点数が少ないといいことずくめです。オペアンプを無理して低電圧で駆動させるよりも、この方法がスマートでしょう。

またこのアンプは元々ポータブル用途として保護回路等(例えば出力抵抗)なしで単独で安定動作するよう設計されており、そのおかげで非常に簡素な回路ながら十分な音質が得られます。

配線参考図

配線図に近い回路図(LED/スイッチ付)。

LM4880-DC-LR-haisen.gif

ICの枠内も実際に配線してください。ステレオジャックが部品記号になかったのでしょぼいことになってます。

リンク等

コメント欄にありますが、KANさん発案のJFET(2SK170/2SJ74)のコンプリメンタリバッファ(ディアルソースフォロア)を入力部(入力抵抗とRaの中間)に付けると、音質が著しく改善します。ボリューム位置により少し発振しやすくなるので注意ですが(^^;;

KANさんがその内容を製作記事(前段バッファ)に書かれたようです。回路図は3rd Projectさんの記事を見てね。

2008/04/22(火)作業中

オーディオカード Prodigy 192VE

192VEのチップ出力抵抗、DAC/ADCまわりのアナログ電源コンデンサ交換と回路変更(ノイズ対策)をしました。SE-U55SX(改)と同等の音質。もしかしたら越えたかも? という感じになりました。ついでにADCまわりも強化して録音品質向上に挑戦。

結果、またも原形留めてない説(笑)

「SE-U55SX(改)があるのになぜ?」という疑問もあると思いますが、結局のところProdiy(AudioTrak)はソフト(ドライバ)がとても使いやすいという一点に尽きます。裏を返せば…ry

USB-DAC

PCM2901 DACの録音部分の回路を作ろうと思ったのですが、録音ボリュームを付けようかどうか迷っています。下手なボリュームつけると劣化するし、かといってWindows側からの録音制御もまったく効かない状況ですので、困ってしまいました。

ボリュームは諦めるかな……。

FETヘッドホンアンプ

このサイトで一番人気なコレですが、次期バージョンのため色々調査していると面白いことが分かってきました。

  1. 初段が無い方が音が良い*1
  2. 3パラの出力インピーダンス4.5Ω駆動より、4パラにしたり出力抵抗を省いて、出力インピーダンス2Ωぐらいにした方が、わずかに音が良い。

(1)は今更すぎてみなさまに申しわけない感じですが、どうやらその傾向があります。

(2)については、出力抵抗による劣化などあらゆる要因を疑って聞き比べてますが、どうやら出力インピーダンスがまだ高いという結論に達しそうです。比較的インピーダンスの低い、40Ωヘッドホンに対して4~5Ωなら十分だと思ったのですが、細かい変化がまだあります。

現時点で調査中であり、確定的なことはまだわかりませんが、あの回路を作られた方の中で「試してもいいよー」という方がいましたら、(1)または(2)について個別に追試して感想を教えて頂けると嬉しく思います。((2)については発振の危険があります。特に、出力抵抗削除は高確率で発振します。)

  • どちらの要因か分からなくなるので、同時に実施しない方がありがたいです。
  • 聞き比べたヘッドホンを教えてください。
  • ハンダ熱を加えると電解コンが劣化しますので、数時間は放置してから聞き比べてください。*2
  • どちらもわずかな差ですので、違いが分からないことも多いと思います。

とにかく出力インピーダンスを下げるのは発振との戦い(もしくは出力抵抗16個という嬉しくない状況との戦い)。またブレッドボードでの調査かな…。*3

メモ

完全パラレル(全FETで出力抵抗共有)での試験@ブレッドボード

  • 4パラ 8V 0.22Ω×2+負荷 → 発振
  • 5パラ 16V 0.22Ω×2+負荷 + 電解コン(任意) → 安定
  • 5パラ 2V 0.1Ω →無条件に発振
  • 5パラ 16V 0.33Ω×2 → コンデンサに関わらず安定

発振させるには:電源にL成分、パラ数を増やす、電圧を上げる、出力抵抗を低くする。

安全性を鑑みて「4パラ/0.33Ω(0.47Ω)×2」。

*1 : ついでにオフセットも少ない

*2 : 変更直後より、何日かして何気なく聞いている方が違いが(あれば)分かりやすいかも。

*3 : ブレッドボード組は大変発振しやすく、安定性テストにはもってこい。

オペアンプの音質比較@Chu-Moy

はてブ数 2008/04/21電子::HPA

注意!! ここに書かれている情報は古くなっています。LM6172はあまり音がよくありませんし、OPA627より安価で良い音質のオペアンプがたくさんあります。


Chu-Moyヘッドホンアンプを使ってオペアンプの音質を比較しました。

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